2016.7.2: "Oliver!" @Grange Park Opera

ウィーンでの公演中に途中降板、二回の手術をへて長期休養中のSimon Keenlysideの復帰作。予定されていたオペラはほぼすべてキャンセル(日本公演の2回のマクベスを除く)、あとは軽めのコンサートのみ。私が見るのはShakespeare400以来。

ミュージカルなのにほんとに行くの?と何度も確認された。グラインボーンの二番煎じグランジェ・パーク・オペラ初参戦。場所はWinchesterそばの丘の何もないところ。ネオギリシャ様式の建物に小さめの劇場がある。

開演前にディレクター?からかなり長いスピーチがあり、男爵だかの姪が相続した建物があり、もっと音響のよい劇場を建設して移転する予定で、10億円かかり、5.9億円まで集まったが、寄付ちょうだいと。サポーターで客席にいたBryn Terfelがすくっと立ち上がり、「昨日までミュンヘンでスカルピアだったので声が残っているかわからないが」と何かを一曲アカペラで熱唱。ものすごい拍手だった。

さて開演。孤児院で子供達が食べ物もっとちょうだいと歌う。有名な歌らしいがいまいちだ。聖歌団でなく普通の子供達だからな・・・

三角帽子の男が、素行の悪い一人の子供オリバーを、別の男と相談して、売り飛ばすことに。男の子は売り飛ばされた先で、母親の悪口を言われて怒り、棺桶につっこまれる。そこをなんとか抜け出し、ギャングの元へ・・・Keenlysideどこー?

オリバーはコートをきてませた格好の男の子に食べ物をもらい、誘われて、地下のアジトへ。そこにいたユダヤ人の老人、すんごい老人メイクだが、若干猫背でせわしなく歩き廻るそのお姿はまぎれもなく、Simon Keenlyside様です!!!

さすがに歌は段違いにうまい。オペラに比べれば超簡単で気も楽だろう。つか他の歌手はマイクに頼りすぎ。舞台の両脇のスピーカーからガンガン聞こえてきて嫌だ。Keenlysideはほぼ地声に聞こえた。

爺が子供達を寝かしつけると、仲間のマッドな男ビリー・サイクスがやってきて、宝飾物やら真珠のネックレスを渡す。男が帰ると、爺は一人で宝箱を取り出し、宝石さんと宝石さんをご挨拶。ティアラかぶってかわいいす。オリバーが眠れないと起きてきて慌てて隠す。

子供達は爺の指導で町にスリに行く。オリバーは金持ちおじさんに捕まる。

休憩。イギリス人が大好きなピクニック・タイムなので長め。でも仮設テントの中にテーブルが並び、別に緑に囲まれて食べるわけじゃないのが謎。うちは開演前にレストランで食事して、休憩はストイックにコーヒーのみ。家かえってちゃんとご飯たべたい。

帰らないオリバーをギャング仲間のおばちゃんナンシーも心配して歌う。ミュージカル歌いだが、この人が一番うまかった。静かな曲は地声に近くてよかったが、バックコーラスが入るとまた大音量マイクで残念。

オリバーは、金持ちの家にいて、娘の肖像画に似ている、うちの子になれと言われる。

でもビリー・サイクスが許さねえと。ナンシーは彼の恋人なので同調するもよう。Keenlyside爺は立場を決めかねている。

中空につられたロンドン橋の上。オリバーを助けようとしたナンシーをビリー・サイクスが殺してしまう。警官がやってきて、ビリー・サイクスを撃ち殺し、死体は橋から半分落ちた。Keenlyside爺は原作では自殺したが、ここではちょっとシニカルに何かつぶやいて幕。

爺も踊りながらのカーテンコールは楽しく、観客は総立ち。あとでみたら今日が最終日。

楽しめたけど、・・・私にはミュージカルは合わないということがよくわかった。あの様式美の歌い方、演技、踊り、すべてが無理!演出は限られたセットの割にダイナミックでテンポよくよかった。

このFaginという役は、クセのある名優がやることになっているらしい。Keenlysideはミュージカル部門でも伝説を作っちゃったんじゃないかな。ニューヨークでのオペラ「ハムレット」はストレート・プレイの俳優も見るべきと評されてたし。

STAFF & CAST


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